NTTデータフロンティアでは、金融をはじめ公共・法人分野での
多様なお客様向けのシステム開発で、確固たる実績を築いてきました。
一方で、その実績に甘んじることなく、将来を見据えた新規事業への挑戦を開始しています。
ここでは、自らのアイデアで新たな分野にチャレンジしている社員に
その取り組みを語り合ってもらいました。

Talk Member

M.O

ビジネス企画担当
課長代理
文学部 社会学科卒
2004年入社

T.H

第一システム開発本部 第三開発担当
課長代理
経済学部 経済学科卒
1998年入社

H.S

第二システム開発本部 第一開発部 第一開発担当
環境情報学部 情報メディア学科卒
2016年入社

K.S

第二システム開発本部 第一開発部 第一開発担当
主任
国際関係学部 国際ビジネス情報学科卒
2007年入社

NTTデータフロンティアの新規事業への取り組みについて教えてください。

M.O 当社は数年前から「ビジネスコンテスト」を開催し、それぞれの社員の発想で、新しいビジネスのアイデアを出す場を設けてきました。その動きが本格化したのが2020年。経営企画本部内に、現在私が所属するビジネス企画チームが立ち上がり、独自のソリューションやビジネス創出を目指していく取り組みを開始しました。

T.H そうですね。ビジネス企画チームの立ち上げは、社内的にもインパクトがあったと思います。チーム立ち上げの背景にあるものは何なのでしょうか?

M.O みなさんご承知のように、ビジネスを取り巻く環境は急速に変化していますし、人々のニーズや課題も多様化しています。従来のように、単にシステム開発をするだけで顧客が満足する、あるいは課題が解決するわけではない。大切なのは、人間中心的な考え方で、顧客に寄り添うことだと思います。そうしたマインドや手法を社内に広めていきたい。それが、従来の枠にとらわれない、新たなビジネスの創出につながっていくと考えています。

H.S 具体的に、ビジネス企画チームはどのような取り組みを行っているのですか。

M.O いきなり新しいビジネスのアイデアを、といっても多くの人は戸惑ってしまうと思います。まずは、私たち自身が、アイデアの出し方やそれをビジネス化していくためのプロセスを習得することから始めました。その上で、すでにみなさんもご承知の通り、習得した考え方や手法、マインドを広めるために、社員向けのセミナーやワークショップ、アイデアソンなどを企画・実施しています。

K.S ええ、私もビジネス創出に係る知見を吸収したいと思い、ワークショップ等に参加していますが、新しい取り組みだけに難しさもありますよね?

M.O そうですね。私たちのチームは「ヒト」に着目し、ユーザーが考えていることや行動を深掘りすることで、真の課題を追求することを大切にしています。それが、ビジネス創出につながっていくと。しかし、そもそも当社はエンドユーザーから遠い位置にいますから、エンドユーザーの深掘り、アプローチには苦労していますね。

T.H 社内での手応えはどうですか? ビジネス創出のマインドは広まっていますか?

M.O ワークショップの参加者からは毎回好評をいただいています。参加した人がチームメンバーに勧めてくれたりと、じわじわ広がってきています。今後も社員全員に広めていけるよう、継続して取り組んでいきたいと思っています。

新たに取り組んだ具体的なプロジェクトを教えてください。

M.O 会社として取り組むプロジェクトはこれからですが、新たなビジネス創出に向けた動きは、個々の社員の取り組みの中にあります。今日は、実際にアイデアをカタチにしたメンバーに集まってもらいました。まずは、T.Hさんからお願いします。

T.H 私は、何かにチャレンジすることで、ビジネス創出のスキルや考え方、手法を吸収しようと考えました。そのチャレンジが、内閣府主催の「KYOTO楽Mobiコンテスト」アプリアイデア部門への参加でした。

K.S T.Hさんの取り組みは社内でも話題になりましたよね。アプリアイデア部門で最優秀賞を受賞したのですから。どのようなアプリアイデアを考えられたのですか?

T.H まずは、京都の抱える課題を解決するアイデアの検討を進めました。その中で開発したアプリが、手荷物を預けられるサービスを軸に、新たな観光資源の位置情報と混雑データから隠れた観光スポットをすすめ、人気観光スポットの混雑緩和と新たな観光資源の発見を促進するというものです。「手ぶらで歩きたくなるアプリ-Teburan-」と名付けました。

H.S その検討において、T.Hさんが大変だったのはどんなことでしょうか?

T.H それはもう、すべてが大変でした。課題の発見、解決法とデータの組み合わせ、観光客であるユーザーだけでなく地域社会、事業者への価値提案を考える必要があること——。私たちの通常の業務において価値提案を担うのはお客様で、私たちの担当は開発・試験・リリースです。私自身、価値探索から実施する経験はほとんどありませんでした。その中で、デザイン思考やITサービスマネジメントのプロセスを取り入れて進めたこと、また異業種である大学のメンバーとワークすることで、調査・探索を効率よく進めることができました。

M.O T.Hさんの取り組みは非常に興味深く、私たちビジネス企画チームと一緒に何かできないか、産学連携の可能性も含め、次の展開を検討しています。さらに発展した形、あるいは別のアプローチで、当社主導の新規事業の可能性もあると思いますね。

T.H アイデアは社会実装に至っていませんが、様々なデータを利用して社会課題を考える過程で得られた知識や経験、人脈を社内で共有することができました。今後、新規事業を展開していく中で、それらが少しでも活かされれば、今回の取り組みの価値も生まれてくると思っています。

「東京都新事業発掘プロジェクト(GEMS)」への参画について教えてください。

K.S 私とH.Sさんが参画したのが「東京都新事業発掘プロジェクト」です。これは東京都産業労働局が開催しているもので、民間企業で培われたノウハウやアイデアを起業や新規事業創出に結びつけるという取り組み。普段の業務で培ったUI(ユーザーインターフェース)/UX(ユーザーエクスペリエンス)改善や人間中心設計のノウハウを活かしつつ、個人や社会における自らのミッションを達成すべく、ビジネス創出に向けて活動を行いました。

M.O 自らのミッション、それはどのようなものだったのですか?

K.S 実はミッションの選定が最も大変でした。ここで言うミッションとは、本当に情熱が注げる対象であり、社会の課題解決やニーズを満たすもの。深く検討し自らのミッションを再構築した結果、自分が好きな旅行や宿泊施設を対象としました。選定したミッションは、コロナ禍の影響で思い出のお宿がなくなってしまう前に、お宿の新たな収入源を作り、思い出のお宿を守るというものでした。

T.H 「思い出のお宿」を守るために、具体的にはどのようなモノを作り、どのようなアクションを起こしたのですか?

K.S 使いやすく(UI)、魅力的な体験(UX)を提供するサイトを構築し、オンライン販売や寄付によって、宿泊業界へ新しい収入源を提供する。つまり「思い出のお宿」を応援する仕組みを作ったのです。そのためにユーザー調査・分析、アイデア創出、宿泊施設等への営業や交渉など、多彩な活動を進めました。H.Sさんは実務でも私と協働していますが、同時期に「東京新事業プロジェクト」に参画しましたね。その取り組みを教えてください。

H.S 私は上司から声掛けされたのが、参画のきっかけでした。実務である金融システムではない分野で新しいことができることに、ワクワク感がありましたね。実は私のミッションの起点となったのは祖父の死だったんです。会いに行けたのに、会いに行っていなかった自分を顧みて、孫と祖父(母)がつながるコミュニケーションツールとしてのアプリを考えました。世に中に流通しているアプリより使いやすく、たとえばお互いの好みのレコメンドを提示できるなど、コミュニケーションが感動を生む、そんなアプリ開発に取り組みました。

M.O 「感動」をキーワードにしたんですね。

H.S そうです。現在ではストレスなくサービスを利用できるような品質は当たり前になってきていると思います。それを超える「感動品質」が求められている。それは、ユーザーの行動や気持ち全体を含めて考えることで、はじめて実現できるものだと考えています。アプリ開発でもその点を重視しました。ユーザーの課題を解決するだけでなく、「感動品質」を提供することが、新たなビジネス創出ともリンクしてくる可能性があると思っています。

プロジェクトでのやりがい、成長できたことを教えてください。

K.S 私は、今回のプロジェクトに参加して、確かな成長の実感があります。自分がやりたいことがあれば、自ら積極的に行動することを学びましたし、それがやりがいにつながっていく。自分で考えて動くことで、周囲を巻き込むこともできる。その手応えは大きなものがありました。

H.S 私もK.Sさんと同じく、今回のプロジェクトへの参加は、非常に意義深く、成長できた実感がありますね。多くの人と関わり人脈が広がったことに加え、こうしたプロジェクトに参加すると、多様な知識・情報の吸収があり、考える作業が多くなり、その継続で視野が広がり、視点も多角的になっていく。通常の業務でも、今まで以上に積極的になったと思いますよ。それに伴い、当社では初めての「人間中心設計スペシャリスト」の資格も取得することができました。

M.O 私も同様です。私はビジネス企画チームの一員として、ビジネス創出に必要な「デザイン思考」を通じて、今まで知らなかった考え方、思考の広げ方、視野を学んで世界の見方が変わりました。驚きや発見に出会うことが多く、普段は気にも留めてないことが目に入ってくる。仕事自体がさらに楽しくなりましたし、このマインドは人生も豊かにするものだと感じています。

T.H M.Oさんが指摘した「デザイン思考」。これは私も今回の取り組みで実践したものですが、今後のビジネス創出に向けて、キーとなる考え方だと思います。いわゆるデザイナーがデザインを行う際の思考のプロセスを体系化したものですが、ユーザー視点に立ってサービスやプロダクトの本質的な課題・ニーズを発見し、ビジネス上の課題を解決するための思考法であり、多くの人に共有してもらいたいと思っています。

今後、挑戦したいこと、手がけてみたいプロジェクトを教えてください。

T.H 当社の主要な事業領域である金融システムの開発等において、より直接的に社会課題の解決に資するプロジェクトに携わってみたいと思っています。私を含め、今回の3人の取り組みはとても有意義であると思いますが、アイデア創出の域に留まっている。アイデア創出だけでなく社会実装されるサービスに関わっていきたいですね。

K.S 私も当社のビジネス領域である金融分野にフォーカスしたことに取り組みたいと考えています。今回のプロジェクトの参加メンバーに新しい参加者をメンバーに加え、新規機能のアイデア創出や、新しいビジネスの種を作ろうと思っています。

H.S T.Hさんが指摘した「社会実装」。それをまず目指したいですね。これまでも新規事業を考える中でたくさんアイデアを出してきましたが、まだ商用化に至ったものはありません。商用化はすなわち事業化ですから、商用化のプロセスに挑戦し、自分が考えたアイデアを社会で実装したいと思っています。

M.O 3人の意欲は、とても頼もしく感じます。新しいことを考えるワクワク感、いろいろなモノの見方、価値観の吸収、「ヒト」への共感等々、新しいビジネス創出の過程は、すべてが楽しく情熱的なものだと思います。ビジネス企画チームとしては、これからいろいろな企業と連携し、コネクションをつくりながら、新しいアイデアを創出することにもチャレンジしていきたいと思っています。

T.H おっしゃるように、アイデア創出もビジネス創出も、生みの苦しみはあるものの、楽しく、情熱を傾けられるもの。それが全社的な機運として高まっていけば、新規事業の具現化も射程に入ってくると思いますね。

M.O ええ、アイデアをビジネスにするのは難しいですが、ビジネス創出の端緒となるアイデアを、あきらめず出し続けていく、その情熱は忘れないようにしたいですね。私たちのチームも、当社の新規事業の取り組みもスタートしたばかりです。私たちの取り組みが、次代の新しいNTTデータフロンティアを創っていくと信じています。